インフォメーション
お蕎麦屋さんでの仕事が楽しかった。
そして・・お金の心配もなくなった。
新聞の帰り・・市場の社長から・・
「山ちゃん!!今から手伝ってくれへん!!」
「日当で給料払うから・・」「蕎麦屋までに終わるから・・」
とか喫茶店のランチタイムだけ2週間お願い・・
現場の塗装屋が3日間お願い・・
毎日どこかアルバイトの依頼が絶えなくなった
すべて一生懸命こなした。。そして
延長の依頼があった。びっくりするくらい給料をもらった。
たまたま新聞配達の夕刊の仕事が外国の方が勉強の為で
と言う事で僕が配る必要がなくなった・
笑うくらい少ない給料で朝刊は配った。
それでも辞めようとは思わなかった
そういう義理みたいなもの大事にしたかった。
すべては蕎麦屋さんのおかげで感謝した。
売り上げをあげる事をいつも考えた
出前先の麻雀屋でも
「俺、槍田スペシャル」「俺も川上スペシャル」
知らないお客様が「スペシャルって何や~」
「やまちゃんに言うたら・・カレーうどんに天ぷら入れたりいろいろ
できんねん!!オリジナルうどん作ってくれるねん」
じゃ~俺 杉スペシャル~具材全部入れて~」
出前は新聞配達をしてるので裏道まで知っていて
誰よりも早かった・・そして温かいウチに配達する事
にこだわりさえ芽生えた。「美味しい蕎麦は温度や~」
新聞配達しながら・・手書きの広告も入れた
トッピングでオリジナルうどん、そば、どんぶり=出前も温かいよ~
みたいな事書いてくばった・・得意の絵も描いた。
お店も繁盛しだした・・
いらっしやいませ~
おばちゃん「社長とこの従業員みんなウチで食べてくれるやん~」
社長「ちゃうねん!!山ちゃんがぁ~新聞の途中にウチの家のとゆが詰まってる
んみて・・昼間直してくれてん・・きれいに直してくれて・・
ほんで・・こづかいあげる言ったら・・」
「お店に食べにきてください!!いうねん」
「そやから従業員もここで出来るだけ食べろ!!って言うたん」
おばちゃん「ふ~ん・・そうかぁ~」
最近は山ちゃんが料理してるんやろ~
おばちゃん「そうやねん、楽になったわ~」
「めちゃ儲かってるやん~山ちゃんのおかげやで~」
そして僕は料理らしき物にはまりだしていました。
年配の方と若い人では出汁の濃さをかえなあかん!!
あのおじいさん・・出汁いつも残ってるし
女の人は麺少なくして・・その分ネギとか多く入れた方が
喜ぶんちやうかなぁ~
あのおばちゃんネギ残すから最初からぬいとこ・・
現場の人には濃い味でごはん多くして
水はボトルでだそう~
お客様が何も言わずともこっちが先に気づくのが
商売ちゅうもんや・・言うか俺誰やねん・・また笑ってる。
そんな想像する時間が好きだった。
ただいつも何か違うねん~わからんけど・・と思っていました・
そんなある日・・「おばちぁん。この製麺機、俺直してみようか??」
おばちゃん「ウチの主人この機械つぶれておかしなぅってん~」
「もう蕎麦屋なんか辞めや~って毎日パチンコ行くようになって・・」
俺頑張って直してみる・・電気は流れてるねん。電気さえ流れてたらっ大丈夫屋と思う
仕事が終わり・・夜中分解してまた組み立てかたずけ次の日またばらし
そんな日々が続く・・
あっ「これや・・これ・・ここのフーリーがかけてる
だからかまへんねん。ここや・・
次の日・・鉄鋼所にこれ作ってくれへん~
3万ほどするで・・「3万かぁ~・・」
今25000円しかないねん。日雇いだいぶ入ってるから
後でもええ~・・
よっしゃ・・2万5千で作ったるわ~・・
「ありがとう・・」缶ジュースを買って渡した
おばちゃんには言わなかった。お世話になってるし
もし直らなかったらと思ったので
製麺機は息を吹き返した・・
がたがた・・動き出した・・早く粉を入れてくれ・・
蕎麦打たせろ・・と言わんばかりに・・
「よかった・・」ますます機械が好きになった。
早く打ってほしかったが・・主人は来なかった。
そんなある日・・もうお店のオーダーはすべて
作れるようになった。市場でもらう
魚のあらとかで1品も作り
サバ寿司のセットとかお持ち帰りよう
の箱寿司も作った・・お客様は喜んでくれた・・
子供の頃から・・いい物を食べた事なく
刺身とかびっくりしたけど生で食べるん??
ホンマ?だましてない??
その味に感動した。
その感動を伝えたくて・・頑張った。
ただ・・何かが違うと思った。
そんなある日・・お店に・・あるおじさんが来た
一目見てわかった・・勝手に厨房に入り・・厨房を見渡し
製麺機に向かった。電源を入れ・・がたがた動き出した。
おじさんは涙を流しながら・・聞こえるか聞こえないくらいの大きさで
「ありがとう~」といった。
僕が・・粉買っきましょうか??というと
道を説明しだした・・僕は「嬉しかった。こんなにうれしいと思った事
ないくらいうれしかった・」
初めて・・打ち立てのお蕎麦を食べた・・
びっくりした・・歯触り・・喉コシにわいた
「旨い・・美味しい・・製麺所から来る麺とはまるでちゃう~」
おばちゃんも泣きながら・・蕎麦をすすっていた。
その時・・自分がひっかかってたある謎がとけた。
これなんだ・・根本が美味しくないとあかんねん。
俺はアイデアだけやねん~これは誰でもできる
蕎麦屋は蕎麦美味しないと・・・
「食べあるこう~」「いっぱい食べて学ぼう~」
それから・・アルバイトしたお金であっちこっち
食べ歩くようになになった。蕎麦を中心にいろいろ食べた
お店は繁盛して息子も帰ってきた・・
自分はもういらないとも考えるようになった・・そんなある日
「ねぇ~あんた・・言ってよ」
「俺が・・」
もう赤ちゃんの頃からその態度には敏感だった。
自分から・・「おばちゃん・・俺辞めたかったん」
その後・・びっくりする言葉を僕の胸を刺した
そしてえぐった・・
「あんた・・レジの金とったやろ・・」
毎晩・・機械直すとかいうて・・レジの金とったやろ・・
それから・・今日まで我慢してたけど・・
もうあかん!! 警察に言わんからでていって・・
僕はびっくりして・・何も言えなかった・・
「おばちゃん・・そんな目で見てたん・・俺の事・・」
「ほんまに・・そんなんすると思うん??」
「俺なぁ・・生きててこんな安心して毎日過ごした事なかった」
「もう感謝しかなかったのに・・なんでそんなんするん~」
「俺・・赤ちゃんの頃から大人に好かれようと頑張ったん」
「施設の先生や見に来る人・・みんなに気つかったん・」
「校長先生とか・・現場のおじさん・・でもあかんかった・」
「おばちゃんとお客様は応えてえてくれた・・うれしかった」
「だから・・頑張ったのに・・」「何が気にいらんの??」
「俺な・・物心ついた時から思ってたん。」
「朝起きたらなぁ~死んでたらよかったのに・・・って」
「カブトムシみたいに・・死んでたら楽やのに・・って」
「 ほんなら・頑張らんでもええのに・・」って
でも生きてるねん・・ほんなら・・腹へるねん・・またガマンせなあかんねん!!
でも・・ここ来るようになって・・お腹もいっぱいなって・・
みんな俺なんかに「山ちゃん~って言ってくれて・・俺生きててよかった!!って」
「朝来るのん・・初めて楽しみに思ってん・」「寝る時も・・明日ならへんかなぁって」
「俺・・生きる意味あるやん~とか・・思っ・・」
「でも・・一番大切なおばちゃんに疑われるって・・」
「もう・・もう・・」
「でも感謝してます。・・俺・・おれは金とって・・」
「お世話になりました・・」
そのまま出ていきました・・
その晩・・また現場で・・一人の少年が叫んでました
「なぁ・・なぁ・・俺あほやろ・・俺なぁ・・調子のって
料理人とかなれるんちゃうと思っててん・」「笑うやろ・・」
「将来の夢・・自分のお店する・・・」なんて考えとってん
アホやろ・・あはは・・
「俺ができるわけないやん・・なぁ・・できひんわ・・」
なぁ・・神様・・聞いてるん・・「俺・・料理人なんか絶対ならへん・・」
「めちゃ嫌いやし・・客なんかもう嫌いで嫌いで・・」
「いや・・なりたいねん・・」「ゴメン・・うそ・・俺・・またみんなに喜んでもらいたいん」
「なってええの??なぁ・・なってええの??夢とかもってええん??」
「あかん!!か~・・勘弁してよ・・夢くらいないと生きられへん・・」
「でも俺・・生まれてお金とかパクった事ないし・・」でも・・でも・・わからんねん
「俺・・14才やで・・わかるか??どうしたらええねん・・」
「まだ・・子供やねん。優しくしてほしいねん。」「同級生なんか・・コーラー半分残して
ほかすねんで・・なぁ・・聞いてる・・御弁当とか残すねんで・・うぁああああああああああああああ:」
一晩中泣き叫んだ・・
そして・・神様・・あっ神様わかった・・お賽銭やろ・・俺いれた事ないもん・・
それで・・それでこんなんするん??
わかった・もし俺ビックになったら300円入れるから・・なぁ・・
300円ってビックになっても300円ってセッコーはっははははは~
今度は笑ってる・・
その朝新聞配達で蕎麦屋の前を通った・・1通の手紙を入れた。
今まで・・ありがとうございました。心から感謝しております。
僕は・・ここで働いて・・自分の目標が決まりました。
ここで働いて・・料理の楽しさを知りました。
食べる事の愉しみもしりました。
お客様に喜んでいただく事の喜び
そして・・本質です。料理の本質を親方から学びました。
蕎麦ひとつでこんなに違うかと・・
それで・・私はこの料理業界のトップに立つと誓ったのです。
でかいホテルの料理長になる。どんな修業にも耐え
どんなに辛くても必ずなります。
いつか・・てっぺんに立ったら・・その時また
お伺いいたします。それが僕の感謝のすべてだと思ってください
おばちぁん・・初めて食べた「もかない」旨かった~
ありがとうございました。
やま
演出・・やま 音響・・やま
編集・・やま
次回予告
「あいつ・・ほんまもんのバカや~」
「本気であのホテルのてっぺんになる気や~」
「しかももうなる事は当たり前で次の事まで考えてる~」
「ほんまもんのアホ~や」「応援するしかないっしょ・・」
「ほんまもんアホに・・はははっはは」
さてこれから料理人になると決めたが・・続くのでしょうが・・
ではでは