インフォメーション
師匠の下で何年も日本全国を回った
いろんな山海美味を学んだと同時に不正も知った
養殖の魚を天然と偽る・・そんな仕事も派遣である自分は
文句も言わず引き受ける・・そんな地方の仕事も多かった。
私は絶対に我を出さない・・それが生きていく上に一番必要だと信じていた。
そんな生活に疲れ・・料理人という職業も辞めようかな~とさえ思っていた。
テレビをつけると井上がいつもしゃべっていた・・
自分と比べるととんでもなく差がついていた。
ただ・・そんな井上を誇りに思っていた。
職場では・・いつも聞かれた・・
ねぇねぇ・・やまさん!!
「井上さんってどんな人・・すごい料理なんでしょう~」
やま「はい。ほんとすごい人です。」
「やまさん・・頑張らないとね~」
そして・・また養殖の魚を捌いて調理していた・・お店は鳴門の天然真鯛と言って出していた
そんな毎日で・・やまには昔のような笑顔「やまスペシャル 旨いやろ~」
とかそんな冗談・・一切なくなった・・
そうムラサキのスーツのいかついおっさんのようになっていた・・
久しぶりの大阪
山川親方「やまちゃ~ん お久~」
「なべちゃんの具合どう~今日退院したんやろ~」
やま「あんまりよくないみたいです。」
山川「そっかぁ~」「なべちゃん・・」
山川「それでなぁ~話あって来てもらったんやけど・・」
「やまちゃん なべちゃんに似てきたなぁ~」
やま「はい」ニコリとも笑わず返事した
山川「ほんでなぁ~ やまちゃん!!もしよかったらウチのお店
めんどうみてくれへん~そう頭で・・」
「もちろん、なべちゃんには話通してるから~」
やま「えっ・・」「こんな高い報酬で・・」心の中で深々とお礼と感謝した
「すいません・・でも・・」
山川「ええねん。ええねん・すぐ返事せんでも・・何年後でもええんねん」
やま「ありがとうございます。」
山川「今からなべちゃんに会うやろ~宜しくって言っといて~」
「はよ~一緒に飲もう~って」
やま「はい。」深々く頭を下げて帰っていきました・
その晩 師匠の家に行った
小さな家から始まり~今は外車4台止まってる立派な屋敷になっていた
やま「こんばんは」
おかみさん「まぁ~やまちゃん 元気!! 北陸かえりやね=」
「ウチの人も楽しみにまってるから~どうぞ・・」
おかみさんが案内してくれた・・
そこには。。ムラサキのスーツを着た背筋もピーンとした
真白な顔色のいかつい顔したおっさんが正座して座っていた・・
やま「師匠 ご無沙汰しております。」
師匠はそっと手紙を差し出した~
そこには・・
破門状と書かれていた・・
開けると・・
長い事つかえてくれてありがとう~お前が16才の時出会って
今まで文句ひとつ言わず・・ずっと支えてくれて
ほんとに心からお礼をいいたい。
わしももう長くない・・だから・・お前はもう自由に
やりたい事をやればいい~・・・・・・」
いろんな事が書かれていた・・
やまはもう最後は涙がたまっていたがでも泣かないと決めて
顔を上げる事もできず・・ただ文字を読んでいった・・
文字がどんどん濡れてにじんでいった
そして・・すべて読み顔を上げると・・
もう顔じゅう涙だらけだった・・
師匠が手でこっちにこい!!と・・
そして師匠はやまを抱きしめ
やまは嬉しかった・・初めて師匠にやさしくされた・・そんな深い思い
があふれんばんばかりに。。もう涙がボロボロできた
そして・・」信じられない奇跡が・・
「ぃままでぃ ありがとう~」
えっ・・えっ・・師匠の声を聴いた
「えっもったいない・・もったいないです。俺なんかに・・
師匠おおおおおおおおおおおおお」
そんな・・・・・・・えっつ」
ありがとうございます。・・ホント俺を「なんか拾ってくれて・・
俺を見つけてくれて・・で育ててくれて・・世界までとらせてくれて・・
しっかり師匠を抱きしめ・・泣き叫んだ・・・
俺・・おれぇええええええええええええ・ありがとうございました~」
言葉にならなかったが・・もうぐしゃぐしやに感動した~
その晩の宴が始まった・・
もういつものゴミの頃のやまにもどっていた
おかみさん「この人・・トイレでずっと練習してたの」
「やまちゃんにお礼いいたくて・・」
で・・この人があの初めてやまちゃんが作ったやまスペシャル食べたいって・・
あれは記憶に残るくらい不味かったって・・ははははっは
やま「じゃ~今日は美味しいと言ってもらいますよ~」
「やまスペシャル!!旨いよ」ははははははっは
やまも久しぶりに笑った・・
そして・・念願の師匠の笑顔もみた・・
師匠も一晩中笑っていた
おかみさん「で、やまちゃんこれからどうするの?山川へ行くの?」
やま「俺・・夢っていうか・・やりたい事あるんです。」
師匠、おかみ「何??夢って何??」
やま「笑えへん~絶対に~」
師匠、おかみ「笑えへん 笑えへん絶対」
やま「俺いつか自分のお店持って・・ほんまもんの素材
天然の最高級の素材を目に見えない仕事熟成で美味しくして
そんなお店をしたいねん」
師匠、おかみ「そう~すごいやん でも笑う話やないやん~」
やま「それで・・自分で無農薬野菜とか作って畑もするねん・・すべて自家製で自分で
調味料まで作って・・ほんで・・器とか・・テーブルとかも
お店全部自分で作るみたいな事したいねん」
師匠、おかみ「ははははっははっははははっははっは」
やま「だから・・笑えへんって」「ははっはははっははは」「無理ですよね~」
「だから・・夢やって・・・・」
師匠、おかみ「だって・・畑とか・・陶芸って・・やまちゃんらしいわ~」
「なんでも自分でしたがる子やったね~」
おかみ「そういえば井上君とは会ってるの??」
やま「最後に会ったんは・・お店やるから・・料理長で来てくれへんか~って」
おかみ「いい話じゃないの・・」
「断った・・俺・・俺の親方は・・渡辺龍三だけやって・・」
「もう誰の下でも働けへん・・俺が死ぬまで師匠は・・
ムラサキのスーツを着たいかつい顔したおっさんだけや~」
「はははっはははははははっはは~」
疲れて師匠はウトウトしてた・・ただ笑顔だった。
そんな笑顔の師匠をずっと見てたかった
そして・・早朝俺は大分の最後の仕事へ飛んだ・・
また・・ピクリとも笑わない機械のような顔をして・・
大分の厨房で・・1週間たった
「やまさん・・電話」
やまはピーンときてなんの電話かわかった・・
やま「仕事中や~で~へん」
大分の女将さん「でも・・親方が・・」
やま「うるさい!!」「みんな料理に集中せいや~」「お客様まっとるやろ」
その晩
大分板前「やっぱりやまさんは血も涙もない人間や~」
「自分の親方死んでも知らんふり~やたい」
「大阪に帰りもせんたい」
「いくら料理できても・・あかんたい」
大分親方「あほ!!おまえら・・ゴミ捨て場見てみ」
ゴミ捨て場
うぉおおおおおおおおおおおおお なんでや~なんで亡ってもうたん~
なんでや~なんで・・・俺また独りやん~どうするん~
俺がいつかやる店に食べにくるんちゃうの??
なっ・・なんで・・俺また独りぼっち・・小さい頃と同じやん~
そこには子供の頃の拗ねてる「やま」がいた
もう無理や~俺・・ずっと辞めたかったん~
なんで俺だけこんなに働かなあかんの?
みんな遊んでるやん~
知ってる??みんな週休二日制やで~8時間労働やで・・
俺まだ休み月1回あるかないかやん~なんで俺だけ・・
なんで~もう無理や・・もうこんな仕事・・こんな仕事
泣き崩れて・・叫んだうおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
貴方が教えてくれた・・貴方が見守ってくれた
こんな仕事・・こんな仕事を愛し続けます!!!!!
だから・・だからこれからも見守ってください!!
俺・・井上みたいに・・有名にはなられへん・・
けど・・泥臭いけど・・かっこ悪いけど・・
人から身体大丈夫?って言われるくらい頑張って・・料理して・・
みんな笑顔して・・俺・・・・おれ・・・
貴方のような・・料理人になります。ほんまに・・ほんまに
ありがとうございました・・・ありがとうごじました・・
ありがとうございました!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
制作・・やま
編集・・やま
キャスト・・やま
長=い間読んでいただいてありがとうございました・・
また第3部もいつか・・書きます。
「やまスペシャルうまいやろ~はぁははっははははっは」一人で笑ってる
おしまい